2015年7月23日木曜日

夏、入魂の一弾 - 第25回APSカップ東京本大会



2015年7月18日、19日の両日、今季のAPS(エアー・プレシジョン・シューティング)の集大成と言える第25回APSカップ東京本大会が開催されました。
18日(土)がライフルクラス、19日(日)がハンドガンクラスとなっており私達は昨年と同様ハンドガンクラスの観戦、取材に伺いました。
会場は長らく耐震補強工事でクローズしており今春から運用が再開されたAPSの聖地とも呼べる都立産業貿易センター台東館です。


正面入り口を入りまだ新しい匂いも抜け切っていないエレバーターホールから4Fの会場を目指します。
私達は少し遅れて会場入りしたのですが、1年に1回の祭典である本大会はやはり和気あいあいとした雰囲気の中にも公式練習会などとは違うピリッとした空気が感じられます。

大会構成はオープンサイト部門(光学照準等の装着不可)、フリーサイト部門(ドットサイト等の光学照準使用可の部門)、そして年間チャンピオンを決定するグランドチャンピオン決定戦の三部構成となっています。
各選手、受付を済ませると弾速検査、試射レンジでの試射、そしてブルズアイ、プレート、シルエットの各競技へと進んで行きます。



以前は1回目の弾速検査でNGが出てもその場で規定値に再調整し直し、再度の検査が合格であればその銃で大会に出場することが可能であったのが、今回からは1回で規定値をクリアできなかった銃は使用不可とレギュレーションが大幅に変更となっています。
東京都の条例で一定の条件を満たせば18歳未満でも競技参加が可能となり、真のスポーツとして認められたAPSであるからこそのルール改正と私自身はプラスにとらえています。
また各競技のジャッジが都度「銃口カバーを外してください」「銃口カバーを装着してください」のコールをするようになったのも改正になった点の一つです。

各選手は競技中の選手の後ろの椅子に座り自分の順番を待つわけですがその時いったいどの様な気持ちでいるのでしょうか。


いざ射座に入り競技が開始されてしまえばもう集中するしかないのですがもし私が選手であれば「次が自分の番」というタイミングが恐らく一番緊張する場面ではないかと思います。
このような緊張も楽しみの一つと捉え(だと思います)APSには実にいろいろな選手の方々が参戦されています。





学生時代にエアライフルで大活躍されていた選手、米国で実銃のシューティングの世界に身を置かれていた選手、近代3種競技における射撃の最終調整として参加されている選手、トイガンのコレクターでそのうえ稽古事が大好きという異色の選手、等々まだまだいろいろな経緯がある選手がいることでしょう。
そしてそれと同様に射撃スタイルも様々です。



もしこれからAPSを本格的に始めようと思われている方は会場に足を運びいろいろな選手の話を聞いてみることをお勧めします。何か自分の琴線に触れる一言を言ってくれる選手が必ずいるはずですから。

APSカップは先にもご紹介したように各部門別に競技が進行してゆく関係で表彰式もその部門が終了した時点でとり行われます。各部門6位までの選手がコールされ表彰されてゆくわけですが、その他にもシニア賞等の表彰や各社提供の多数の副賞も用意され盛り上がりを見せる表彰式となっています。





そして楽しい各部門表彰の後にグランドチャンピオン決定戦という最大級の緊張がAPSカップ会場を包みこみます。選出された4名の選手以外の視線が真後ろから食い入る様に直撃するのですからその緊張感は恐らくピークに達する事でしょう。
しかしこれに耐えられなければもし4名の選手に選出されたとしても頂点にはなれないということを意味します。射撃技術だけではなく精神的な面が大きく勝敗に関与するまさに武士道のような一面をAPSは内包しています。
しかしこの戦いを制したものはその名をAPSの歴史に残すわけですからこれ以上の栄誉はないはずです。





第25回大会のでその栄冠を手中に収めたのは奥智昭選手。何とオープンサイト部門選手の制覇は2011年以来の快挙ということです。

なお、各部門の競技結果はJASGの公式サイトをご覧ください。

APSの大会にはベストドレッサー賞はないもののこの選手を見ているとそんな少しお祭り的な賞もあってもいいかなと思わせる夏秋選手です。



そして今回APSの次世代を予感させる「デジタルカメラ・シューティングシステム(仮)」のデモンストレーションも行われていました。
専用のソフトウェアで銃、ターゲット、パソコンまたはタブレットが連携し射撃を行うというものです。
銃に内臓されたデジタルカメラのシャッターが切れることを応用しているためレーザー光線などの照射もなく非常に安全なシステムとなっています。
これであれば年齢制限からも一気に解放されまさにAPSの新時代を感じさせます。





こうして第25回APSカップ東京本大会は無事閉幕しました。9月からは大阪で公式記録会が開催されるなどすでに来季の本大会に向け歩みが始まっています。
選手の方々にはまた1年じっくりと精進して頂き、本大会では観ている私達にもピンと張りつめた空気を十分に味わわせて頂けると信じています。
選手の皆様、大会関係者の皆様本当にお疲れr様でした。


THANKS TO

参加選手各位様

日本エアースポーツガン協会

2015年7月12日日曜日

第77回ビクトリーショー探訪 - いつも圧倒されるその熱気



7月5日(日)、都立産業貿易センター浜松町館でミリタリーファンの心を奮い立たせるイベント「第77回ビクトリーショー」が開催されました。
当日は時折大粒の雨が降る梅雨空の一日でしたがそんなことはお構いなしの活況を呈した開催となりました。

私達も当ショーにはほぼ毎回お邪魔させて頂いていますが型にはまらないフリーマーケットや模擬店を感じさせる出展各社と来場者の方々とのスタンスが極端に近いところが一番の魅力になっているのが当イベントであると思っています。

会場入りして最初に伺った運営本部といえど


今回は飲み物の販売に余念がない様子ですし、「本日も一日よろしくお願いします」の挨拶を交わすや否や


このようなポーズで反応してくれます。主催者も含め会場にいる全ての人達がこの特別な1Dayを楽しんでいるのがひしひしと感じられるイベントとなっています。

そして会場を見て歩くと最近少しづつではあるものの書籍関連のブースが増え始めていることが感じられます。


いつもお馴染みミリタリー書籍の御大「コンバットマガジン」のワールドフォトプレスさんは当然として、あの小学館さんがいよいよこちら方面の書籍に参入してきました。


本のタイトルは「特撮とイラストで図解する 自衛隊の最新装備」で「図解する」の言い回しに何か小学館を感じてしまうのは私だけでしょうか。
先の大震災後テレビなどで自衛隊の活躍が一般の目にも触れる機会が増え前より少し自衛隊に興味が持てるようになった方々にはちょうど読みやすく分かりやすい本となっています。


「ぴっちょりーな」も看板娘として忙しく立ち回っています。

サバイバルゲーム関連の書籍で私達の目に止まったのが


飛鳥新社さんより発行された「いちばんやさしい サバゲー入門」


装備の揃え方から、フィールドでの戦い方まで手取り足取りの内容でまさにこれからサバゲーを始め、始めたからには強くなりたいという人達の指南書という内容になっています。

そして実銃の世界は並木書房さんのこちら


床井雅美氏の新刊「現代ピストル」が目を引きます。

スペシャルイベントとして「ミニ講演会&サイン会」も同時開催されていました。


床井氏の口から発せられる知識に裏付けされたその淀みない解説は客席の人達の心を引き付け続けた講演会となっていました。

そしてこのイベントの楽しいところ、それは会場内でいろいろな方々と不意に会えたりすることもその一つでしょう。


通路の真ん中で顔を寄せ合って何やら話しをしていたのは源文先生と乙夜さん。
こういう通りすがりで偶然会った時のワンショットもよいものです。

こちらに向かって手を振ってくれたのは


FUNTAKTIKSの皆さん。今回はヘルプの男性も加わってくれました。リアルなNAVY SEALSアイテムが手に入る注目のショップです。

後ろから声をかけられたのは


マッカーサー元帥。今回はお色直しもしてくれて


総統様になって再登場です。

そしてさらに声をかけられ振り返ると


そこにもマッカーサー元帥の姿が。しかし皆さん本当に「なりきって」写真に収まってくれます。

軍装ではありませんがピュアブックで販売しているピアスの製作者、モデラー羽村氏も女性陣に囲まれご満悦。


本当に各ブース、通路は来場者で溢れていてこれらの写真を撮るのも一苦労な状況です。

そんな中サイトロンジャパンさんで素敵な商品をみつけました。


ベレッタ製のトートバック。本来はハンティング(鳥撃ち)用の物とのことですがむしろ普段使いにオシャレな一品ではないでしょうか。
色合いもアースカラーでどの様なファッションでも合わせやすそうです。勿論、水も浸み込みにくい構造となっています。写真では分かりづらいですがベレッタのロゴ入りワッペンが恰好いいです。

東京マルイさんはガスブローバックの新製品のデモンストレーションで大盛況です。


「錬成にかけた時間は伊達じゃない!」のキャッチコピーが自信と勢いを感じさせる「M4A1 MWS」
その手応えを体感しようとする来場者が後を絶ちません。
ディスプレースタンド横のガス缶の数がそれを物語っています。


肝入りの製品に満足している様子が島村氏のこの姿からもうかがい知れます。気温も上昇しガスブロ派には嬉しい季節ですので発売が待ち遠しい一品です。

製造メーカーの製品に「ちょっとひと手間」かけたカスタマイズを施しているのがMULEさん。


スライドに施されたこのシャープな刻印などもその一つです。実物を見ると見事にエッジの立ったその刻印には惚れぼれします。
このあたりは製作者の技術とセンスがものをいう領域でしょう。


今回その製作者は真面目な面持ちで写真に収まっています。いろいろ苦労もおありのようですが現在のモデルガン業界にはなくてはならない方です。


むげんの西面氏は懐かしいマウザーのモデルガンを手に。こちらはショップとしてユーザー側から見てなくてはならない存在です。


先のイベント「ネオ零度シティー」でもお世話になったBig-Outさん。帽子がすっかり身体の一部となってしまっている様子。
失礼を承知で言わせて頂ければ「何だかかわいらしい風貌の方」です。


ゆっくり話はできませんでしたがアングスさんも掘り出し物豊富で大人気のブース。
いつか訪問したいショップの一つでもあります。


コンチネンタルホルスターズさんには撤収作業中にお邪魔してしまいました。
取扱い商品のまとがしぼられた小さいけれどご夫妻の人柄があらわれた魅力的なブースです。


細かいアイテムを取り扱っているので妙に神経質なところがあるのかと思いきや、写真の貴重な商品のパッケージが大きすぎて机に並ばないからと両端を切り落としてしまったなどという大胆な一面も持たれています。

最後にたずねたキットボーイさんには今回もやられました。


机に置かれたこれ何だと思いますか。何でM4カービンの上にマウスが乗っかっているのでしょうか。
実はこれがトリガーの役目をしています。電動ガンの場合トリガーはただのスイッチなわけですからセミオートで撃つ場合そのレスポンスで射撃スピードが決まります。
要は、ストロークの短い、リターンスピードの早いスイッチが最適ということでマウスが選定されたというわけです。
確かにマウスのスイッチは超ショートストローク、ハイスピードリターンスイッチですね。そして露骨に取ってつけたような装着方法はサバゲーでの受け狙いも考慮してとのことです。


こちらは15年程前に製作されたという発射サイクルがデジタル表示されるカウンター。一秒間の発射サイクルも正確にカウントできるための切替スイッチも装備されています。
電子知識に長けているこのショップは一味も二味も違う異彩を放った私も大好きなショップの一つです。私も利用している秋月電子さんのことも良くご存知ですし。

ここ都立産業貿易センター浜松町館でのビクトリーショー開催も残すところあと一回になってしまいました。
建物の老朽化、新都市計画による再開発で取り壊しが決定しており、現在の建物がなくなることは確実です。
私達が初めてこの世界を取材し始めた想い出深いこの場所がなくなるのは本当に残念で悲しいことですが、どこに場所を移そうとこの「熱気、活気」だけは引き継いでゆけるものと確信しています。

THANKS TO

サムズミリタリ屋