2015年6月1日月曜日

この夏もレトロな風 日立M-6032型扇風機





恐らく扇風機がまだ高級家電品だった時代の扇風機。
私達の夏はこの古い扇風機が回りだすことから始まると言ってもよくいわば我家の夏装束である。

1950年代初期の製品で型式はM-6032。日立扇風機の一覧によると同型番6032型にも6032B、6032Cなどバリエーションがあるようだが、背面に付いている銘板には末尾のアルファベットまでの表記はなく我家のこの機種がどれに該当するかは残念ながら不明である。

しかしこの佇まいはただ扇風機と一言では片付けられない存在感を私に投げかけてくる。
1950年代といえば少し前日本でもブームを起こした「ミッドセンチュリー」なるアメリカのモダニズムデザインの最盛期でこの扇風機も羽根のガードやベースなどにその影響が色濃く見られる。


横からみた羽根のガード、モーターのアウターシェル、そしてベースのネック部分などまさにミッドセンチュリーそのものの造型である。

そしてそのデザインの秀逸性もさることながら、その「造り」がただ家電品などと呼ぶのはおこがましいほど、発電機や船、そしてプロペラ時代の飛行機にも通ずる重厚感を全身からみなぎらせている。
そして注油が必要なこの時代の製品はその油の匂いが全身から漂い、それがまたその気分を大いに盛りたてるのである。
余談だが最近各社から高性能な潤滑剤が発売されているが私はこの手の機械物のメンテナンスにはもっぱらミシン油である。
この時代の扇風機には特にマッチしているのではないかと思うのは私だけだろうか。



羽根のガードのセンターには誇らしげに「HITACHI」の文字。そしてこの文字は七宝焼きのような処理がなされている。

画一的で安全が最優先されたデザインの製品ばかりが溢れる現代において、私のような「物好き」には個々の魅力に溢れ、愛でることができる当時の製品に限りなく強い力で引き付けられてしまうのである。


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