2015年6月21日日曜日
初代FMウォークマン SONY SRF-40の時代を想う
FM放送が音楽をコレクションするにあたり音源として大きなウエイトを占めていた時代1980年に発売された初代FMウォークマン SONY SRF-40。
電源は単三電池3本、彼、彼女が二人で聴けるようにとの配慮かヘッドホン端子は2系統装備、ボリウムは何と左右独立型を搭載。この種の機器は手さぐりで音量調整をすることが常であるのになぜこのように操作性が悪い方式を採用したのか理解に苦しむ部分。
選局は当然バリコン式で小型のためほんのわずかの位置の違いで大幅にチューニングのセンターがずれる。ステレオ受信ができた時はLED(当然赤色)が点灯し、受信状態が悪い地域での対応のためにSTEREO⇔MONOの切替スイッチも装備する。
NHK-FM「軽音楽をあなたに」、FM東京(当時は東京FMではなかった)「ダイヤトーン ポップスベスト10」など当時はトーク、天気予報、道路交通情報のオンパレードではなく本当に音楽中心のラジオそれがFM放送だった。
クルセイダーズの「ストリート・ライフ」や「ラプソディ&ブルース」などのアルバムが当たり前のごとく全曲フルでかかっていたのが今では懐かしい。
オーディオ機器をはじめ音楽再生に関係するものはどのメーカーが何を発売しても作れば作るほど売れたという時代背景があったとはいえ、このようなFM放送しか聴くことのできない単一機能の製品が開発されたのもFM放送がいかに大事な音楽のための音源だったのかを物語っている。
そしてこのような製品を商品化してしまう思い切りのよさを持っていた当時のソニーには今も心惹かれてしまう。
2015年6月1日月曜日
この夏もレトロな風 日立M-6032型扇風機
恐らく扇風機がまだ高級家電品だった時代の扇風機。
私達の夏はこの古い扇風機が回りだすことから始まると言ってもよくいわば我家の夏装束である。
1950年代初期の製品で型式はM-6032。日立扇風機の一覧によると同型番6032型にも6032B、6032Cなどバリエーションがあるようだが、背面に付いている銘板には末尾のアルファベットまでの表記はなく我家のこの機種がどれに該当するかは残念ながら不明である。
しかしこの佇まいはただ扇風機と一言では片付けられない存在感を私に投げかけてくる。
1950年代といえば少し前日本でもブームを起こした「ミッドセンチュリー」なるアメリカのモダニズムデザインの最盛期でこの扇風機も羽根のガードやベースなどにその影響が色濃く見られる。
横からみた羽根のガード、モーターのアウターシェル、そしてベースのネック部分などまさにミッドセンチュリーそのものの造型である。
そしてそのデザインの秀逸性もさることながら、その「造り」がただ家電品などと呼ぶのはおこがましいほど、発電機や船、そしてプロペラ時代の飛行機にも通ずる重厚感を全身からみなぎらせている。
そして注油が必要なこの時代の製品はその油の匂いが全身から漂い、それがまたその気分を大いに盛りたてるのである。
余談だが最近各社から高性能な潤滑剤が発売されているが私はこの手の機械物のメンテナンスにはもっぱらミシン油である。
この時代の扇風機には特にマッチしているのではないかと思うのは私だけだろうか。
羽根のガードのセンターには誇らしげに「HITACHI」の文字。そしてこの文字は七宝焼きのような処理がなされている。
画一的で安全が最優先されたデザインの製品ばかりが溢れる現代において、私のような「物好き」には個々の魅力に溢れ、愛でることができる当時の製品に限りなく強い力で引き付けられてしまうのである。
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