2013年2月7日木曜日

MSRのアウトドアストーブ




1990年代初頭に購入したMSR(Mountain Safety Research)のポンプ加圧式タンク分離型ガソリンストーブはその機能美溢れる造形でいつ見ても私を飽きさせない。
そんなストーブを久しぶりにメンテナンスしたついでに撮影してみた。実物を直に見て触って使用するのも当然良いのだが写真に納まるとまた別の格好良さが感じられる。ブームやデザイン優先で作られた物、ギミックだらけの物とは確実に一線を画す「必然」から生まれた物だけが持つ美しさがそこにはある。

左奥がWhisper Lite600という機種でバーナー部分を含め最も一般的なデザインのモデルである。
数層の薄いステンレスプレートからなる火口はその大きめな直径の恩恵で五徳に載せたコッヘル等の底部に広く炎が当たるため水を沸騰させるのに要する時間はこの三機種の中で最も早い。
また、炎がその火口の構造上比較的横方向に放射されるため燃料を気化させるジェネレータ(火口の直近を通っている燃料を加熱するためのアール状の導管)を低い位置に設置することが可能となり、そのおかげで五徳も低くでき鍋底と炎の距離が近くなった。これらと風防の相乗効果が早い沸騰を可能にしている。また燃焼音も比較的静かでファミリーキャンプとは言わないがごく普通のキャンプやツーリングに持参するならこれが一番のような気がする。
振ると内蔵された針が上下してジェットの目詰まりを除去してくれるセルフクリーニング機構を備えており、燃料はホワイトガソリン、灯油、無鉛ガソリン等が使用できるマルチ・フューエルタイプである。

次に中ほどの二つ。MSRの中で最も「エクスペディション」な香りが漂う、私が愛してやまないXGKⅡで、手前のゴールドボディのモデルがオリジナルで後のブラックボディの物がマイナーチェンジ機種である。
マイナーチェンジ前のモデルは五徳がステンレス線をただ直角に曲げただけのシンプルなもの。4本がそれぞれ別々に動き、その角度で載せる物の大きさに合わせるタイプ。収納時も内側にか回転させることによりコンパクトに収まる。先に述べたセルフ・クリーニングは搭載されていない。燃料はマルチ・フューエルタイプである。
マイナーチェンジ後のモデルは五徳が固定式のクロスタイプに変わり大きいものから小さいものまで簡単に載せられるようになり、収納時は抜き取る方式となった。
セルフ・クリーニング機構が搭載され、勿論マルチ・フューエルタイプである。

さてなぜこのモデルが一番好きかというと、「これ以上そぎ落としようがないほどまでに徹底的に機能最優先で作られている。そしてそのシルエットから醸しだされる凄み」で、このストーブを使いたいが為にフィールドに出かけると言っても過言ではない。
バーナーカップ(火口)の底にジェットが取り付けられているため真上に上がった炎をフレームスプレッダー(バーナーカップにかぶっている四つ足の付いたプレート)で四方向に拡散している。
Whisper Liteと比べると炎は高い位置に放射されるためジェネレーターのアールは必然的に大きくなっている。上の写真をみるとその大きさの違いが分かる。これがエンジンの「タコ足」を連想させて私的にはなかなか格好良いのだが、これによりおのずと五徳と火口の距離が遠くなり水の沸騰時間はWhisper Liteに軍配が上がることとなる。
しかしいかにも壊れなさそうなその面構えは不敵でその燃焼音も強烈でまさに「エンジンがかかっている」ようである。こちらも当然マルチ・フューエルタイプである。

右側が当時画期的な機能を搭載して話題になったDragon Fly.。
従来のMSRポンプ加圧式ガソリンストーブは「トロ火」が苦手でであった、と言うよりはできなかった。それが可能になったのがこのモデルで何が変わったのかというと、今まではポンプ側にしか付いていなかった燃料コントロールバルブがバーナー本体側にも付いたということである。
これにより大まかな火力の調整をポンプ側で行い、微妙な調整はバーナー直近のノブで行なうという使い方ができるようになった。これで煮込み料理も可能となった訳だが「雪や氷から一刻も早く水やお湯を作ることが最重要項目」というエクスペディション臭さは若干希薄になった。
無骨にアールを描くジェネレーターもなくなりボディもフィンが入ったアルミの引抜き材に底板を付けた物で全体的にスマートな印象となった。
五徳は大型の鍋も載せられる可動収納タイプとなり使用範囲は広がった。複数人数のキャンプでも不自由することはないであろう。このモデルは単独で登頂を目指すクライマーが使用するというよりは、ベースキャンプなどで使用するほうが向いているように思われる。バーナーカップ本体はXGKⅡと同じ物のようなので、その燃焼音は同様強烈である。
当然ながらセルフ・クリーニング機構付きのマルチ・フューエルタイプである。
足の部分に取り付けてある軽め穴が開いたプレートはトリリウム・ストーブ・ベースといい雪や砂にストーブが潜ってしまうのを防いだり、岩の上での使用時にストーブを安定させるための物で全機種に取り付けが可能だ。

以上簡単にそれぞれの機種の特徴を記したが、普段ガスタイプのストーブを使用している人からすると操作手順、メンテナンスを含め取扱いには十分な知識と練習が必要だ。
また、タンク分離型のストーブはコールマンなどの一体モデルと異なり接合部やポンプ本体に多くのOリングが使用されている。定期的にこれらのチェック、メンテナンスを行なわないと加圧された燃料が圧力で漏れ出し発火して思わぬ事故を起こしかねない。
また、プレヒートという余熱時はストーブが火ダルマ状態になるので枯葉や芝生の上では使用できない。(もともとが雪、岩、砂の上で使用することを前提として作られたモデルであろう)
しかし、使いこなせば家庭のガステーブルと変わりないガスストーブでは得られない満足感と愛着が湧いてくるのもこれらポンプ加圧式タンク分離型ガソリンストーブなのである。

次回は実際の着火手順でストーブに火を入れてみたいと思う。


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