2013年2月13日水曜日

MSR XGKⅡの燃焼




今日は久しぶりにXGKⅡに火を入れることにした。燃料はホワイトガソリンを使用したが年がら年中登山に行く方、長期の遠征やツーリングに行く方でなければ割高ではあるが(自動車用無鉛ガソリンのほぼ10倍)不純物も少なく燃焼も安定していてメンテナンスも楽なこの燃料が一番良いと思う。

燃焼に入る前に手許のXGKⅡについて少々書きたいことがある。
付属の注意書き(ATTENTION)によるとこの機種は間違いなくXGKⅡとして商品化されている。XGK当時の特徴であった自動着火用のスパーカーやプレヒートコイルも搭載されていない。
しかし、XGKⅡではブラックになったボディがXGKのゴールドボディのままだし、五徳もクロスタイプではなくワイヤーを曲げただけの、これもXGK当時のものだ。
何と言ってもマニュアル自体がロゴも含めてXGKそのもので、新旧混載のモデルである
私はXGKからXGKⅡに移行する過渡期の製品ではないかと察している。80~90年代初頭の海外製品(特にアメリカ製)は多少のデザイン違いなど基本性能に問題がない部分には何のためらいもなく旧パーツを使用している例は多々ある。
このモデルも恐らくXGKのパーツの余剰品で組まれ、製品化された物であろう。今では日本向け輸出品は国産品かと見まごう程パッケージも含め「ラフ、アバウト」な部分が少なくなった。それはある意味海外製品の趣が希薄になったことにも通ずるが。
特に日本法人化されたメーカーは製品ラインナップや製品の安定性も含めもはや「国産品」と言っても過言ではないと思う。
昔、横須賀で家内とふらっと立ち寄ったアウトドア店で入手した一品である。




さていよいよ「燃焼」である。フューエルボトルは11oz/325mlを使用した。燃料は前記通りホワイトガソリンで10回程度ポンピングしストーブに装着する。
コントロールバルブをゆっくり開き、バーナーカップの底とその下にあるプレヒートパッド少し湿る程度に燃料を出してバルブを一旦閉める。
そしてトーチーなどを使い着火。ストーブ全体が「火だるま」の様相を呈しながら余熱が行なわれる。炎の勢いが治まりフューエルチューブ内の残燃料がシューシューと音を立てながらジェットから出始め、それに着火したら序々にバルブを開き本燃焼に移行する。
正常に燃焼を始めたらフューエルボトル周りからの燃料漏れがないことを確認し、後は轟音と共にフルパワー燃焼あるのみである。
メーカーの説明では着火後しばらくしたら3~5回程度追加ポンピングするようにとあるが、MSRに関しては極寒の地での使用でない限りその必要はないと感じる。
フューエルチューブ、フューエルボトルがほど良く温まり始めると炎は更に安定し、きれいな青火で燃焼を続ける。
程なく、バーナーカップ、フレームスプレッダー(炎拡散板)が赤熱し、その青い炎と轟音と相まってまるで戦闘機の「アフターバーナー」を連想させる私が最も好きな光景が展開され始める。
お湯が沸くまでじっと見ていたいそんな気持ちにさせる光景である。
そしてお湯がゴトゴトと沸騰し消火の時を迎える。1リットルの水を沸騰させるのにかかった時間はおよそ6、7分か。見ていて飽きないので長く感じることはない。もっと時間がかかっても良いくらいだ。極地で命にかかわる場面ではそんなことは言っていられないであろうが「このストーブが趣味」の私にとっては「短時間」などどうでも良いことである。
そして消火後のストーブ燃焼部は実に美しい焼け具合である。私はいつもテーブルに置き眺めて楽しんでいる。

モデル#9から綿々と引き継がれてきた無骨でいかにもエクスペディションを感じさせるこのデザインも2005年頃からXGK-EXという製品にモデルチェンジしてしまい、もはや手に入れることはできない過去の物となってしまった。
五徳や脚が安定して大きな鍋が載せられるテンレスだかアルミだかを使用した丈夫な形状に変わり、これに伴い円柱状のボディーもオムスビ型になったような記事や写真をネットでも見たが、もはやその姿はXGKではない別物だった。

機能の充実という意味では良いモデルチェンジなのかもしれないが、もともと「一人分の水、お湯を雪から一刻も早く作るための道具」である。大きい鍋が載る必要があるのか。
スポーツカーなのにゴルフバックが二つ載ることがアピールポイントになってしまうようなものである。
私のように単一機能に特化した製品を今の時代に望むことのほうが無理なのか。いずれにせよXGKの歴史がここで一区切りされてしまう感が否めないのは事実である。


0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントありがとうございます