先日、KRISS VECTORとSTI TACTICAL5.0を発売したばかりのKSCを山梨県甲斐市に家内と共に訪ねた。笑顔で出迎えてくださったのはトップの写真でSTI TACTICAL5.0を手にポーズを決めてくれている寺田社長。そしてもう一つ我々を迎えてくれたのが円形の吹き抜けのホールの壁面にこれでもかと言うほどのモデルガン群である。これは寺田社長のコレクションということで約1,000挺ほどあるという。これを見るだけでも訪れる価値は十分にあると思われるが、別棟ではなく社屋の入り口のホールなので残念ながら一般公開はしていないそうである。近所に住むどれくらいの人達がここにこんなに「スゴイ物」があることを知っているのであろうか。
マニアなら毎日でも眺めに来たくなるような空間である。
まず最初に見せて頂いたのがGun Magazine 3月号の中でも特集されているKRISS VECTOR。
写真で見るより更に厳つい感じで従来のSMGとは明らかに趣きが違う正に「ここからSMGの新世代が始まる」という言葉がぴったりの風貌である。
KRISS社いわく「120年以上に及ぶ銃器の作動方式の歴史的で重要な大躍進」と言っているその動きが実際にどのようなものなのかを空撃ちではあるが試させて頂いた。
手から伝わるその衝撃は「これがフルオートSMGのリコイルなの」という感じで、よく映画で見られたSMGの2挺撃ちもこれなら可能なのではと思わせる。これならばフルオートでもかなり高精度な射撃が可能であろう。従来の激しいリコイルに慣れてしまった人には物足りなさすら感じさせるそれほどのレベルなのである。だが実際にこの銃を使わなければいけない環境下の人達にとっては反動などないにこしたことはない訳で、やはり偉大な進歩に間違いない。
しかしこの一種マジカルな動作原理を開発し実銃を作りあげたKRISSもすごいが、それをマガジンのガス圧を動力源にして作動するガスガンで再現してしまったKSCの技術力にも驚く。いくら心臓部が高性能な「SYSTEM 7」といえどもである。
そしてまたこのモデルはディティールが素晴らしい。KRISS社とライセンス契約を結び図面等の提供を受け、前身は今はなきMGCの開発業務に携わりまた、もっと以前は機械加工を専門にしていた実力がこの加工精度を実現していると思われる。
次に見せて頂いたのがこれも私が大好きなSTI TACTICAL 5.0である。
シャープさが際立つそのフォルムはいかにも「プロフェッショナル」な香りがぷんぷんで、全米トップのコンバット・インストラクターに愛用者が多いというのもうなずける。
そして今回KSCによってモデル化された製品も素晴らしいクオリティーだ。ガスが充填されていなかったため作動させてみることはできなかったが、手から伝わってくる持った時の感触が何ともいえずリアルで、実銃は手にしたことはないがこの感覚は大きくは外れてはいないことは直感的に分かる。事実、グリップ部分はSTIから実物が供給されているとのこと。
私を含む「物好き」は「実物、本物」という言葉にめっぽう弱い。そんな観点からも欲求を満たしてくれる逸品だと思う。
そんな観点で各部を見てゆくといろいろな発見がある。スライドに刻まれた手の切れそうにエッジが立ったセレーションはCNCによる削り出し。やはり金型ではこのエッジは出せないと話されていた。こういう部分一つがダルな仕上げになると不思議と全体の締りがなくなってしまうのが怖いところである。機械加工に精通したKSCの面目躍如というところか。
また、各部の刻印も位置も含めて実物に忠実に再現されていてる。私が言うのもおこがましいが実物より格好良く見える刻印の位置など存在しないことをよく知っているからこその仕事である。
従来ガスガンは弾が撃てるということに重きが置かれ、そのディティールはモデルガンに及ばない部分があった。しかし今回のモデルを見ていると鑑賞にも十分に堪えられる作りこみがなされていることに驚く。
我々一般の勤め人は年がら年中シューティングができるわけではない。恐らく触ったり、眺めている時間のほうが圧倒的に長いはずである。だからこそ所有するガスガンといえども「所有する喜び」「眺めて満足できる仕上がり」が感じられ「愛でられる」対象でなければならないと私は思っている。
今回のこの二つの製品にはそれが色濃く感じられる。恐らく寺田社長も私と近い考えで製品を作られているのではないか。その製品に対する思いと、高い技術力こそがKSCのパワーの源であると私は確信している。
寺田社長には貴重な時間を割いていただきありがとうございました。
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