2013年1月21日月曜日

HDtrucksの憂鬱


我家の音源はこのところHDtrucksからダウンロードしたハイレゾ音源が主流になりつつある。
最初にハイレゾを聴いた時は、「音は確かに繊細で綺麗なものの、今ひとつパンチにかけるかな」という世間で俗に言われている評価であった。
ところが再生ソフトも含めてPCオーディオ環境が整い、次第に音もこなれてくると聴き込むにつれ「これからはこの音が標準じゃないの」という評価に変わり始めた。
音色、音の深み、音の強弱のメリハリ等々、これらの階調が手に取るようにはっきりと分かり、今まで聴き慣れていた楽曲がこんなにも複雑で、手の込んだ音作りをしていたのかということがはっきりと聴き取れ、それに伴いその曲を聴く感動もより深いものに変化していった。

大げさに言うと「音はガツンときて、パンチがなきゃ。それがあればあとは何も入らない」とJazz好きの私は長いこと考えてきた。しかしこのハイレゾの音に触れると、たとえJazzだとしても決してそればかりではいけないのなだと言う事を教えられた。聴き込めば聴き込むほど、もうCDのリッピング音源には戻れない程の説得力のある音である。

そこで登場するのがHDtrucksであるが、ネット上で多くの方々が言われているように日本からでは購入できない音源が多すぎるのである。特にユニバーサルミュージック傘下の比較的新しく、人気のあったCDをハイレゾ化した物にその傾向が強い。日本でも大々的にCD販売を展開しているユニバーサルミュージックからの圧力なのかもしれないが、英国HMVも経営破たんしたりとパッケージメディアの販売は明らかに翳りを見せ始めている。音楽のように形のない物の販売はいつの時代も権利の問題が発生しやすいし、それを分かりやすく整備することはそう簡単なことではないことも重々承知している。しかしインターネットやそれに伴うダウンロードがこれだけ一般的になった今日、ネット上にある素晴らしい音源を「とりあえず購入できなくしておけばいいや」的な考えで対処し続ければ、音楽産業自体がつまらないしがらみにより停滞してしまう懸念さえあるのではないか。

アナログ至上主義であった私をCDでは全く感じなかった音質と操作することの楽しさの両面から「デジタル」の世界に誘ってくれたハイレゾ音源をもっとアンチデジタル派の方々に聴いてもらいたい。それだからこそもっと欲しい音源が素直に購入できる環境が構築されるのを願うばかりである。

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