2013年1月12日土曜日

2013年新春ブラックホールを観て



先日ミリタリー、銃火器ファンにはお馴染みの新春ブラックホールに家内と一緒に参加してきた。
今回の大目玉は何と言ってもタニオ・コバ代表 小林太三氏とCAW代表 本郷能久氏の対談である。
規制に則った上でリアルなモデルガンを製作することの苦労、また両氏の今後の展望、CAWが満を持して発売するボーチャード・ピストルの紹介など予定時間を大幅に超過するほどの熱弁であった。そんな中で私が特に興味深く聞いたのはCAWがMGCより買い取った金型の話しだ。
金型はご存知のように製品の外装や内部構造物を製作するに当たり無くてはならない物で日本の金型技術はその精度において世界一(MGCの金型が全て国産かどうかは不明であるが)で、そこから作り出された製品もまた素晴らしい物であるはずだ。
しかし、MGCが活動を停止したことにより売りに出された金型はそれらには遠く及ばない代物であったらしい。
軒下に半分雨ざらし状態で置かれた物など、その内部面は雨水の浸入により「アバタ」状になり、そこから成型された製品は「アバタ」を除去するために全てサンディングしなければならなかったこと、同様の理由で金型の勘合精度も低下していて成型品の外周が「バリ」だらけな状態であったことなど、そこから製品としての完成品に持って行くまでの苦労は並大抵のことではないとのことだ。
今度製品を手にした方はそんな苦労も感じ取ってもらいたくなるような話しであった。

このような製品開発などの話しの後に質疑応答があった。その中である若者が「古い銃ばかりではなく今の若い世代にも馴染みのあるようなモデルを製品化する予定はないのか」のような質問があった。
これに対しての解答が「金型を新規に製作すると莫大な経費がかかる。今のご時世では元が取れず難しい話だ。」的なものであった。
私は個人的にはこの現実は分からなくもない。しかしこのような考えかたに終始してしまうとモデルガンが若い世代からどんどん遠ざかってしまう危険性があると思う。
「なーんだ。また古いモデルの再発売か。」この空気が蔓延してしまうことが怖い。モデルガンを趣味とする方々がだんだんと高齢化してきていることの一端はこんなところにもあるのかもしれない。
モデルガン業界の皆様にこの辺りをもっと前向きに考えて頂きたいと思うのは私だけであろうか。

しかし、オーディオの各ショーに比べれば、まだ若い世代層も多く、今から何らかの手を打ってゆけば、コアな世界だけにこれから先も続いてゆける「趣味の世界」ではないかとも思う。
偉そうなことを書いてしまったが、長きに渡りオーディオを趣味にしている私がオーディオという趣味の世界の二の舞にはなって欲しくはないという気持ちからあえて書かせて頂いた。

帰り道に通った大田区界隈。この辺りから世界一の金型が生まれているのである。

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